歯内療法コース

はじめに

北米では1943年に米国歯内療法学会(American Association of Endodontists)が設立され、その20年後の1963年に、歯内療法が正式に歯科医療専門領域として米国歯科医師会(American Dental Association)により承認されました。

また、大学教育においてはAAE設立の数十年も前から、近代歯内療法学の父といわれるDr.Louis I.Grossmanのもと、ペンシルバニア大学歯内療法学科が歯内療法学の発展に貢献し続け長い歴史を作ってきました。

私はこの歴史あるペンシルバニア大学の歯内療法学科にて、学問としての歯内療法学を学ぶだけでなく、臨床上の問題をいかに解決していくのか、その能力を鍛錬するトレーニングプログラム(大学院)を2006年に修了いたしました。

プログラム修了後に私が感じたことを述べると、歯内療法における臨床的問題解決能力の日米間格差は、残念ながら小さくありません。私は歯内療法における臨床上の問題解決能力とは、以下の要素に支えられるものと考えます。

  1. 意志決定に必要な臨床診断力
  2. 基本コンセプトの厳守
  3. 根管系の3次元的封鎖度
  4. 外科的歯内療法の習得・習熟度

上から重要度・必要度の高い順に記しました。

多くの臨床医が最も力を入れている3番目の“根管系の3次元的封鎖度”も重要であることには違いはないのですが、診断が間違っている、基本コンセプトが守られていない(上記1.2.の要素が軽んじられている)状況下では根管充填がエックス線上でいかに美しく写っていたとしても、歯内療法の成功率は決して上がりません。

私は現在、日本の歯科医が置かれている臨床環境の中で歯内療法の成功率を上げるために(日本国民の根尖病変有病率を下げるために)最も成されるべき事は、上に記した“意志決定に必要な臨床診断力”を向上させる事、“基本コンセプトを厳守”していただく事であると確信しております。

このような観点から、臨床医が限られた時間の中で、効率よく歯内療法の成功率を上げることが出来るように講義・演習・実習をバランス良く取り入れたプログラム内容にしたいと考えております。

米国歯内療法専門医 石井 宏

講師紹介

石井 宏 / Hiroshi Ishii

歯内療法コース講師

略歴
1993年 神奈川歯科大学卒業 都内歯科医院に勤務
1996年 石井宏歯科診療所開設
2004年 ペンシルバニア大学歯内療法学科大学院入学
2006年 同大学院修了 米国歯内療法専門医
2007年 東京にて歯内療法専門医院開設
2009年 ペンシルバニア大学歯内療法学科 非常勤講師

歯内療法コース講師

所属学会
  • 米国歯内療法学会
    (American Association of Endodontists)
  • 日本歯内療法学会
主な論文
  • *Gee, J., Ishii, H., Iqbal, M.: A Comparison Access Cavity Preparation With and Without the Use of Surgical Operating Microscope, Journal of Endodontics _32 : 255, 2006,(presented at American Association of Endodontists Meetings, Hawaii, 2006)
  • *Karabucak , B., Ishii , H., & Kratchman S. I . : Conventional and surgical endodontic retreatment of a maxillary lateral incisor with unusual anatomy. International Endodontic Journal _41 : 524-531, 2008
書籍
書籍タイトル 出版社
世界基準の臨床歯内療法 医歯薬出版
Endodontology デンタルダイアモンド社
外科的歯内療法 医歯薬出版
破折を予防する歯内療法とその後の修復処置 デンタルダイアモンド社
歯牙破折の分類・診査・診断・マネージメント デンタルダイアモンド社
GPのエンド、専門医のエンド クインテッセンス出版株式会社

コース概要(全6回、12日間)

受講料

前納金 550,000円(税込)
講習費 88,000円(税込)/ 各回ごと  ※全6回
合計費用 1,078,000円(税込)

コース日程

講習日:20235月~20242月 年6回(土日)全12日間
定員:24名
※コース内容につきましては進行状況により若干の変更があり得ます。

受講日(5~2月 土日×6回 全12日間)

2023年
5月 27日、28日
6月 17日、18日
7月 22日、23日
10月 21日、22日
2024年
1月 27日、28日
2月 24日、25日

第1回

1日目
  • 歯髄の診断
  • 生活歯髄療法
  • 根尖部周囲組織の診断
  • 画像診断
  • 根管治療の予後
  • 臨床診断と意思決定
2日目
  • なぜ無菌的処置が重要なのか
  • 臨床上必要な細菌学
  • 無菌的処置の実際(ラバーダム防湿,器具の滅菌・消毒)
  • 軟化象牙質の除去
  • 根管形成
  • 根管洗浄
  • 根管貼薬
  • 暫間修復(仮封について)

第2回

1日目
  • 根管充填
  • 歯冠側からの漏洩
  • 歯内療法処置歯の歯冠修復処置
  • 支台築造処置
2日目
  • 歯内療法に必要な疼痛の診断
  • 歯内療法後の疼痛について
  • その他の領域(OFP)
  • Cracked tooth syndrome
  • 再治療

第3回

1日目
  • 実習 (マイクロスコープの体験、アクセスオープニング、ストレートラインアクセス、 Ni-Tiファイルを使用した根管形成、根管充填)
2日目
  • 実習 (マイクロスコープの体験、アクセスオープニング、ストレートラインアクセス、 Ni-Tiファイルを使用した根管形成、根管充填、根尖部の観察)

第4回

1日目
  • 実習 (マイクロスコープの体験、アクセスオープニング、ストレートラインアクセス、 Ni-Tiファイルを使用した根管形成、根管充填)
2日目
  • 実習 (マイクロスコープの体験、アクセスオープニング、ストレートラインアクセス、 Ni-Tiファイルを使用した根管形成、根管充填、根尖部の観察)

第5回

1日目
  • 歯内療法における麻酔
  • 穿孔の診断とマネジメント
  • MTAセメントについて
  • 根管内破折器具の診断とマネジメント
  • 高度石灰化症例に対する考え方
  • 根未完成歯の歯内療法
  • 歯内・歯周病変
2日目
  • 外科的歯内療法
  • なぜ外科的歯内療法が必要なのか?
  • 非外科的歯内療法の限界
  • 外科的・非外科的再治療の選択
  • 外科的歯内療法の適応症
  • 外科的歯内療法に必要な器材
  • 外科的歯内療法の術式
  • 外科的歯内療法の予後,歯根端切除術
  • 意図的再植

第6回

  • 症例発表
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